ひとそれぞれの祈りがあり、
それはとても固有的で不可侵なものである。
「物語」はそれらを超えて人の心に届く、最高のメディア。
親から子へ代々受継がれてきた習慣としての祈りが有る。物心がつく前に、自然と身に附いた行い、朝夕の神棚、仏様への挨拶、年老いた祖父の名代としての先祖の墓参りや縁の神社詣で、これらの事は理屈抜きの当たり前の日常行為として刷り込まれて来ました。 その後、日本を離れ、世界の様々な文化に触れ、その土地土地の祈りの場と人に出会う中で、それぞれの多様な価値観を元に表現される祈りが有りました。例えばネイティブアメリカンの様に、時代は変わりアメリカという文明の真只中で、弾圧を受け、文明社会に支配されてもなお、普遍的な祈りの原型というものがそこにはあり、形にとらわれず自由な、自然に帰依した姿が脈々と受継がれているのを見るにつけ、形というもので表現されない、たくましさを感じます。
我々の世界も、色んな意味で西洋文化の恩恵や感化を受け、多様化していますが、その変動の中でも、原初的な祈りの心はしっかりと受継いでいきたいと思います。
出典:「新しい祈りのかたち」(発行 アルテマイスター)